FP1級の学科試験に合格したあと、多くの人が気になるのが「実技試験って何をするの?」という点ではないでしょうか。
FP1級実技と聞くと、かなり難しそうに感じますよね。
特に、きんざいのFP1級実技試験は、筆記試験ではなく面接形式で行われます。
そのため、知識を覚えているだけではなく、相談者に対してわかりやすく説明する力も求められます。
この記事では、主に金融財政事情研究会(きんざい)が実施するFP1級実技試験「資産相談業務」について、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- FP1級実技がどんな試験なのか
- きんざいと日本FP協会の実技試験の違い
- FP1級実技の受験資格
- 面接試験の流れ
- Part1・Part2で問われやすい内容
- 当日までにやっておきたい対策
- 失点を防ぐための注意点
これからFP1級実技を受ける方は、ぜひ参考にしてみてください。
FP1級実技はどんな試験?
FP1級実技は、FP1級の資格を取得するために必要な試験のひとつです。
ただし、FP1級実技には実施機関によって形式の違いがあります。
大きく分けると、次の2つです。
| 実施機関 | 試験の種類 | 形式 |
|---|---|---|
| きんざい | 資産相談業務 | 面接・口述試験 |
| 日本FP協会 | 資産設計提案業務 | 筆記・記述式 |
この記事では、主にきんざいのFP1級実技試験について解説します。
きんざいのFP1級実技は、設例課題を読んだうえで、面接官からの質問に口頭で答えていく試験です。
つまり、ただ暗記するだけではなく、
- 相談内容を整理する力
- 問題点を見つける力
- 解決策を考える力
- 相手にわかりやすく説明する力
が必要になります。
きんざいのFP1級実技と日本FP協会の実技は形式が違う
ここはかなり大事なポイントです。
「FP1級実技」とひとことで言っても、きんざいと日本FP協会では試験形式が違います。
きんざいのFP1級実技は、主に面接形式です。
一方、日本FP協会の1級実技は、筆記・記述式で行われます。
そのため、ネットでFP1級実技について調べるときは、どちらの実技試験について書かれているのかを確認することが大切です。
注意点
この記事では、主にきんざいのFP1級実技試験「資産相談業務」について解説しています。日本FP協会の1級実技試験とは試験形式が異なります。
FP1級実技の受験資格
FP1級実技は、誰でもすぐに受けられる試験ではありません。
受験するには、一定の条件を満たす必要があります。
きんざいのFP1級実技試験では、主に次のような人が受験対象になります。
- 1級学科試験の合格者
- 日本FP協会のCFP認定者
- 日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者
- FP養成コース修了者で、一定の実務経験がある人
多くの人は、FP1級の学科試験に合格してから実技試験に進む流れになると思います。
ただし、受験資格には有効期限がある場合もあります。
そのため、実際に申し込むときは、必ずきんざいの公式ページで最新情報を確認してください。
FP1級実技の試験の流れ
きんざいのFP1級実技は、設例課題に基づく面接試験です。
面接は2回行われます。
それぞれ異なる設例課題が出され、その内容について面接官から質問されます。
公式情報では、設例課題はそれぞれ面接開始の約15分前に渡され、各面接の所要時間は約12分とされています。
大まかな流れは次のとおりです。
- 集合・説明を受ける
- 設例課題を受け取る
- 約15分で設例を読む
- 面接室に入る
- 面接官からの質問に答える
- 1回目の面接が終了
- 別の設例課題で2回目の面接を受ける
試験そのものは面接時間だけを見ると短く感じるかもしれません。
しかし、実際には待機時間もあります。
また、試験中や待機中は電子機器の使用が禁止されています。
そのため、スマホで勉強することはできません。
直前確認をしたい人は、紙の参考書や紙にまとめたメモを持っていくのがおすすめです。
FP1級実技の配点と合格基準
きんざいのFP1級実技は、2回の面接で採点されます。
配点は次のとおりです。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 1回目の面接 | 100点 |
| 2回目の面接 | 100点 |
| 合計 | 200点満点 |
合格基準は、合計で120点以上です。
割合で考えると6割以上ということになります。
ただし、簡単という意味ではありません。
FP1級実技は、ただ正解を言えればいい試験ではなく、相談者に対する対応力や説明力も見られます。
知識があっても、うまく説明できないと点数につながりにくい可能性があります。
FP1級実技で見られるポイント
FP1級実技では、知識だけでなく、実際の相談現場で使える力が見られます。
主に次のような点が評価されます。
- 関連業法や職業倫理をふまえているか
- 顧客のニーズや問題点を把握できているか
- 問題解決策を検討・分析できているか
- 顧客の立場に立って対応できているか
たとえば、相続の相談であれば、相続税の計算だけではなく、家族関係や納税資金、遺産分割のトラブル防止なども考える必要があります。
不動産の相談であれば、土地の活用方法だけでなく、税金、法律、収益性、リスクなども見なければなりません。
つまり、FP1級実技では「覚えた知識をそのまま答える」というより、相談者の状況に合わせて考える力が必要になります。
Part1の内容|相続・事業承継が中心
きんざいのFP1級実技では、一般的にPart1で相続や事業承継に関する内容が出やすいといわれています。
たとえば、次のようなテーマです。
- 相続税の基本
- 遺産分割
- 小規模宅地等の特例
- 生命保険の活用
- 納税資金の準備
- 自社株の承継
- 事業承継対策
- 後継者問題
Part1では、家族構成や財産状況を見ながら、相談者が何に困っているのかを整理する力が求められます。
たとえば、相続税を減らすことだけを考えるのではなく、家族間でもめないようにすることも大切です。
また、会社経営者が登場する設例では、自社株の承継や後継者への引き継ぎも重要な論点になります。
Part1で意識したいこと
Part1では、最初に問題点を整理することが大切です。
たとえば、設例を読んだら、次のように考えると整理しやすくなります。
- 誰が相談者なのか
- 家族構成はどうなっているのか
- 財産は何があるのか
- 相続税が問題になりそうか
- 納税資金は足りそうか
- 家族間でもめる可能性はないか
- 事業承継が必要か
面接では、いきなり細かい知識を話すよりも、まず全体像を整理して答えると伝わりやすくなります。
Part2の内容|不動産相談が中心
Part2では、不動産に関する相談が中心になることが多いです。
たとえば、次のようなテーマです。
- 土地の有効活用
- 不動産の売却
- 賃貸経営
- 借地借家
- 建築基準法
- 都市計画法
- 固定資産税
- 譲渡所得
- 不動産を活用した相続対策
不動産分野は苦手に感じる人も多いと思います。
理由は、税金だけでなく、法律や土地の制限も関係してくるからです。
しかし、FP1級実技では、不動産の細かい専門家になる必要はありません。
大切なのは、相談者にとってどの選択肢があり、それぞれにどんなメリット・デメリットがあるのかを説明できることです。
Part2で意識したいこと
Part2では、土地や建物をどうするかについて、複数の選択肢を考えることが重要です。
たとえば、土地を持っている相談者であれば、次のような選択肢が考えられます。
- 売却する
- 賃貸アパートを建てる
- 駐車場として活用する
- 等価交換を検討する
- そのまま保有する
ただし、どの選択肢にもメリットとデメリットがあります。
収益性が高そうに見えても、空室リスクや修繕費が発生する可能性があります。
売却すれば現金化できますが、譲渡所得税が発生する場合もあります。
このように、ひとつの答えに決めつけず、相談者の目的に合わせて提案する姿勢が大切です。
FP1級実技でよくある質問の流れ
実際の面接では、設例に沿って質問されます。
毎回まったく同じ質問が出るわけではありませんが、よくある流れとしては次のような形です。
- 相談者の問題点を整理してください
- どのような提案が考えられますか
- その提案のメリット・デメリットは何ですか
- 税務上の注意点はありますか
- 他の専門家と連携すべき点はありますか
- FPとしての職業倫理についてどう考えますか
特に、最初に「問題点を整理してください」と聞かれたときに、落ち着いて答えられるかが大切です。
ここで焦ってしまうと、その後の回答もバラバラになりやすいです。
そのため、設例を読んだら、まず問題点を箇条書きで整理する練習をしておくとよいです。
FP1級実技の対策方法
FP1級実技の対策で大切なのは、知識の暗記だけではありません。
もちろん、相続・事業承継・不動産などの知識は必要です。
しかし、それと同じくらい大切なのが、口に出して説明する練習です。
1. 過去問や設例を使って問題点を整理する
まずは、過去問や参考書の設例を使って、問題点を整理する練習をしましょう。
設例を読んだら、次のようにメモします。
- 相談者の悩み
- 家族構成
- 財産の内容
- 税金面の問題
- 法律面の問題
- 提案できる対策
- 注意点
最初から完璧に答えようとしなくても大丈夫です。
まずは、問題点を見つける練習をすることが大切です。
2. 答え方の型を作っておく
面接では、答え方の型を持っておくと落ち着いて話しやすくなります。
たとえば、次のような型です。
答え方の型
まず、問題点は〇〇です。
その理由は〇〇だからです。
対策としては、〇〇が考えられます。
ただし、〇〇には注意が必要です。
必要に応じて、税理士・弁護士・司法書士などの専門家と連携します。
この型を覚えておくと、多少わからない質問が来ても、話の流れを作りやすくなります。
3. 声に出して練習する
FP1級実技は面接試験なので、声に出して練習することがとても重要です。
頭の中ではわかっていても、実際に口に出すと意外とうまく話せないことがあります。
ひとりで練習する場合は、スマホの録音機能を使って、自分の回答を聞いてみるのもおすすめです。
自分の話し方を聞くと、次のようなことに気づきやすくなります。
- 話が長すぎる
- 結論がわかりにくい
- 専門用語が多すぎる
- 声が小さい
- 途中で言葉に詰まっている
面接本番では、完璧な回答よりも、落ち着いて説明することが大切です。
4. 最初と最後の質問を準備しておく
FP1級実技では、最初に相談内容や問題点の整理を求められることがあります。
また、最後にFPとしての職業倫理や専門家との連携について聞かれることもあります。
そのため、最初と最後の回答は、ある程度準備しておくと安心です。
たとえば、職業倫理について聞かれた場合は、次のように答える練習をしておくとよいです。
回答例
FPとして、顧客の利益を最優先に考えることが大切だと考えます。
また、税務や法律などの専門的な判断が必要な場合には、税理士や弁護士などの専門家と連携し、FPとしてできる範囲を超えないように注意します。
このような基本的な回答を準備しておくと、本番で慌てにくくなります。
当日の注意点
FP1級実技の当日は、知識以外の部分でも注意が必要です。
服装はラフすぎないようにする
きんざいの公式情報でも、試験の性格上、華美またはラフな服装にならないように注意するよう案内されています。
面接試験なので、普段着すぎる服装よりは、落ち着いた服装の方が安心です。
スーツでなければ絶対にダメというわけではありませんが、迷う場合はスーツやジャケットなど、きちんと見える服装を選ぶのがおすすめです。
電子機器は使えない
実技審査中は、待機中も含めて電子機器の使用が禁止されています。
そのため、スマホで直前確認をすることはできません。
直前に確認したい内容がある場合は、紙の参考書や紙のメモを用意しておきましょう。
集合時間に遅れない
集合時間に遅れると、受験できない可能性があります。
会場までの移動時間は、かなり余裕を持って考えた方が安全です。
特に初めて行く会場の場合は、駅からの道順や近くのコンビニ、トイレの場所なども事前に確認しておくと安心です。
FP1級実技で失点を減らすコツ
FP1級実技では、満点を狙うよりも、失点を減らす意識が大切です。
特に面接では、わからない質問が出ることもあります。
そのときに完全に黙ってしまうと、印象が悪くなりやすいです。
わからない場合でも、次のように答えると、少しでも対応しようとしている姿勢が伝わります。
わからないときの答え方
申し訳ありません。正確な数値まではすぐに出てきませんが、考え方としては〇〇が重要になると思います。
実務上は、税理士などの専門家に確認しながら進める必要があります。
もちろん、何でもこの答え方でよいわけではありません。
しかし、沈黙するよりは、自分がわかる範囲で整理して答える方がよいです。
FP1級実技は、相談者対応の試験でもあります。
そのため、落ち着いて、誠実に、相手に伝わるように話すことが大切です。
独学でもFP1級実技に合格できる?
FP1級実技は、独学でも合格を目指すことは可能です。
ただし、面接形式なので、完全に読むだけの勉強だと対策しにくい部分があります。
独学で進める場合は、次の3つを意識するとよいです。
- 過去問や設例を何度も読む
- 問題点を紙に書き出す
- 声に出して回答する練習をする
特に大切なのは、声に出す練習です。
知識を理解していても、面接で説明できなければ点数につながりにくいです。
家族や友人に面接官役をお願いできるなら、それが一番よい練習になります。
難しい場合は、自分で質問を読み上げて、録音しながら答えるだけでも効果があります。
FP1級実技の勉強で意識したいこと
FP1級実技の勉強では、すべてを完璧に覚えようとするとかなり大変です。
そのため、まずは頻出分野を優先するのがおすすめです。
特に、きんざいのFP1級実技を受ける場合は、相続・事業承継・不動産を中心に対策しておくとよいです。
また、税金や法律の細かい数字だけでなく、相談者にどう説明するかを意識しましょう。
たとえば、相続対策であれば、次のように考えます。
- 相続税を減らす方法はあるか
- 納税資金は準備できるか
- 家族間のトラブルを防げるか
- 生命保険を活用できるか
- 専門家と連携すべき点はあるか
不動産であれば、次のように考えます。
- 売却するべきか
- 活用するべきか
- 収益性はあるか
- 税金はどうなるか
- リスクはどこにあるか
このように、相談者の立場に立って考えることが、FP1級実技ではとても重要です。
まとめ|FP1級実技は知識と説明力の両方が大切
FP1級実技は、学科試験とは違い、面接形式で行われる試験です。
きんざいのFP1級実技では、設例課題を読んだうえで、面接官からの質問に答えていきます。
面接は2回行われ、合計200点満点のうち120点以上で合格となります。
主に問われやすい内容は、相続・事業承継・不動産などです。
ただし、FP1級実技で大切なのは、知識を暗記することだけではありません。
相談者の問題点を整理し、わかりやすく説明する力が求められます。
そのため、対策としては、過去問や設例を読むだけでなく、実際に声に出して答える練習をしておくことが大切です。
最初はうまく話せなくても、何度も練習すれば少しずつ慣れていきます。
FP1級実技は難しい試験ですが、流れを理解して、よく出るテーマを押さえ、面接練習をしておけば、合格に近づくことができます。
これから受験する方は、早めに準備を始めて、落ち着いて本番に臨みましょう。
最後に
試験制度や受験資格、日程などは変更される可能性があります。申し込み前には、必ず公式サイトで最新情報を確認してください。

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